黒い後ろ楯

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今夜も私はささみだよ。削ぎ切りにしたささみに塩とコショウをまぶし、全体に片栗粉をまぶすと溶き卵にくぐらせて両面を焼く。溶き卵がなくなるまで、くぐらせて両面焼くことを繰り返す。これを繰り返すというのが、ふんわり仕上げるために重要だ。 焼く間にソースを作る。ピカタはケチャップをつけることが多いけど糖質が多いから、刻んだプチトマトとレモン汁をプラスしてサッパリしつつ、ソースも加えカサ増ししてケチャップの使い過ぎを抑える。 「ただいま、才花」 「ただいまぁ、才花ちゃん」 「おかえりなさい。ご飯、ちょうど出来るよ」 今日はタクも来ると連絡があったから、3人分作った。 「手伝うよ」 「タク、手洗って来て」 「だね」 先にキッチンへ来た羅依が 「才花、一人で留守番させて悪かったな」 と唇ギリギリのところにキスをする。 「大丈夫。ちゃんとメニューはこなしたし、あちこちへ連絡もして返事ももらったよ」 「ゆっくり聞かせてもらう」 チュッ…今度は唇にキスしてから冷蔵庫を開けた彼は 「これ、サラダ?出すぞ」 とボールを持って見せた。 「うん、ありがとう。リンゴ、レタス、カッテージチーズ、レーズンのサラダだよ」 「ワインに合いそうだな。今日は飲む」 私はアルコールを全く飲まないし、羅依もほとんど飲まない。飲めるけれど、家で毎日はいらないらしい。
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