黒い後ろ楯

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豆腐、玉ねぎ、ワカメの味噌汁とめかぶ納豆が今日の夕食。 「飲まない私でも、ワインとめかぶ納豆はおかしいって分かる」 「大丈夫だ。いただきます」 「俺も。才花ちゃん、いただきます」 「私もいただきます」 3人順番に手を合わせてお箸を持つとサラダから口にする。二人に夜は仕事をしなくていいのか、と聞きながらお箸と口を動かした。 「どの店も現場に責任者がいる」 「店長とか?」 「そうだ。俺たちは店に直接手を出さない」 「前は出してたけどね。今は大きくなりすぎてそれどころじゃないんだ。お、ささみ柔らかい」 料理上手なタクに誉められるのも嬉しい。 「才花は?スクールとか、どうだった?」 羅依に聞かれて私が今日の話をすると 「動き出したな」 彼は私の頭をポンポンとし、タクが 「新生才花ちゃんに乾杯」 羅依のグラスにコツンとグラスを合わせた。そのグラスからゆっくりとワインを口に含んだ羅依が 「才花」 静かに私を見る。 「うん?」 「父親に会いたいか?」 「…迷惑でなければ、うん」 「会える」
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