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「驚かせて悪いですが、一歩入って頂いても?」
男性の声に羅依が私の腰を抱き、ドアの内側へと入る。ぐるぐると考える頭の中で、バッタ…ン…ゆっくりとドアの閉まる音が重く響いた。
羅依たちの悪友で親友で、女の人を派遣する会社をやっていて、調べものの得意な人のはず…よね?
私は左膝にサポーターが巻きやすいようにレギンスを履き、その上からしっかりとサポーターを巻いている。そして緑のシャツワンピはサポーターを隠しきれない長さだ。意味もなくボタンを確認するように眺めてから
「……羅依…お友達でしょ?」
羅依の靴の先を見つめ、確かめるように声を発した。
「そうだ。小松一樹」
「こまつ…かずき…小松?」
「はい、小松一樹と申します」
その声に顔を上げると
「先日は名乗れずに申し訳ありませんでした」
彼は深く…深く腰を折った。
「…私だと…わかっていて…羅依のところ…」
「中で話をさせて頂けますか?父もおりますので」
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