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第1話 猫の世界と妙なる小鳥(9)
奥の部屋から出てきたルイフォンを出迎えたのは、不安に彩られたメイシアの顔であった。一緒に部屋を出てきたトンツァイがルイフォンの肩を叩き、カウンターへと去っていく。
「なんて顔、しているんだよ?」
やや猫背の、癖のある歩き方でルイフォンはメイシアの元へと行き、椅子に座っている彼女の頭をくしゃりと撫でる。
突然の接触にメイシアは小さな悲鳴を上げそうになるが、かろうじて堪えた。ルイフォンの感覚的には『安心しろ』といった程度のものでしかないことを、この一日で学んだからだ。
「朗報だぞ。お前の家族の監禁場所が分かった」
「え……!? ありがとうございます!」
メイシアの顔が、ぱっと輝く。
「これから屋敷に戻って親父に報告――というわけなんだが……」
そこで、ルイフォンが少しだけ困った顔になった。
「……悪い。ちょっと野暮用に付き合ってくれ……。無視してもいいんだが、そうすると、あとあと面倒だから……」
歯切れ悪く、そう言い、ルイフォンは前髪をくしゃりと掻き上げた。そんな彼に、メイシアの隣にいたキンタンが尋ねる。
「どうしたんだよ?」
「ああ……。シャオリエが、メイシアを連れて店に寄れ、だと」
「あーあ。シャオリエさんねぇ」
キンタンが同情したように頷いた。
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