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それから間もなく、良い感じに古びた駅舎が見えてきた。
「名前も、いい感じの駅だから……降りようかな‥‥」
ヒサシが立ちかけながら、そのホームに目をやると、十人ほどが待っているその中に、一人の女がいた。
薄いピンクのワンピース姿で、ややロングのナチュラルな黒髪が美しく、風と遊んでいた。
ヒサシは一瞬、見惚れた。
が、えっ? と視線を固定した。
さっき見た車内販売の売り子に、ソックリだったからだ。
ひょっとして双子かな‥‥? なんて下らない思を浮かべている内に、列車のドアが開いて、その女も乗ってきた。
すると女が『また会ったね』とニッコリした。
ヒサシは、一瞬キョトンとした。
女は構わず、空いている彼の隣に座った。
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