列車の旅・奇談 ~ぐるぐる~

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 ヒサシは、そのまま女の隣に座った。  無論、タイプだったからだ。  開いている窓からの風に、自分の髪がもてあそばれるのを、女は気持ち良く感じているようだった。  彼も、その髪をさわるとエロチックな気持ちになり、舌でペロペロしたりした。が、何故か何も感じなかった。  不意に女が振り向くと、窓外を指差して、 『あの店、なかなか美味しいよ』  ヒサシも見ると、いつのまにか列車は海岸から離れて小さな街に入っていたのだ。  次の駅の近くに、こじんまりしたラーメン店があり、女はそれを教えていたのだった。
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