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「……はぁっ、はぁっ……りお、りおぉ……んんっ」
浅く肩で息をする彼が、舌足らずな声でわたしを呼びながら、わたしの胸にしがみついてくる。
「りおにさわられるの……すきぃ……」
語尾にハートマークでもついてるんじゃないかってくらい瞳をとろけさせて、すりすりとほほを寄せてくる彼。
夜着がはだけてさらけ出されたその背には、コウモリに似た一対の黒い翼が。
「んん……いっしょに、ねよ……?」
派手に達した疲労感からか、眠くなってきたんだろう。
こどもみたいにむずかるので、左手で頭をなでてあげれば、とろんとした表情でほおずりをされる。
(他人にさわられるのをあれだけ嫌がっていた子が……なんてこった)
腕を引かれ、ベッドへもつれ込む感覚を他人事のように感じつつ、わたしはひとり、ため息をつく。
(どうして、こんなことになっちゃったのかなぁ……)
彼──ノアとの、そう遠くない出会いの日を思い出して。
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