*1* プロローグ

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「……はぁっ、はぁっ……りお、りおぉ……んんっ」  浅く肩で息をする彼が、舌足らずな声でわたしを呼びながら、わたしの胸にしがみついてくる。 「りおにさわられるの……すきぃ……」  語尾にハートマークでもついてるんじゃないかってくらい瞳をとろけさせて、すりすりとほほを寄せてくる彼。  夜着がはだけてさらけ出されたその背には、コウモリに似た一対の黒い翼が。 「んん……いっしょに、ねよ……?」  派手に達した疲労感からか、眠くなってきたんだろう。  こどもみたいにむずかるので、左手で頭をなでてあげれば、とろんとした表情でほおずりをされる。 (他人にさわられるのをあれだけ嫌がっていた子が……なんてこった)  腕を引かれ、ベッドへもつれ込む感覚を他人事のように感じつつ、わたしはひとり、ため息をつく。 (どうして、こんなことになっちゃったのかなぁ……)  彼──ノアとの、そう遠くない出会いの日を思い出して。
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