18人が本棚に入れています
本棚に追加
*3* ノリで美少年をひろう
「ふぅ……なんとか切り抜けた」
こういうのは、うろたえたらおしまいだ。隙を見せた瞬間にヤられる。
何事もスマートに。必要性のない供給はノーセンキュー。
「思わぬ道草食っちゃったけど……まだ間に合うでしょ」
カチリと蓋をしめた懐中時計をローブにしまって、ひと息つく。
あんなハプニングが、そうそう立て続くわけないしね。
そんなふうに思っていたことが、わたしにもありました。
──ガッ。
「っとぉ!?」
物思いにふけっていたら、なにかに足を取られて大きくよろめいた。
とっさにふんばってきょろきょろ見わたすけど、目の前にはなにもなくて。
でも、あった。いや、いた。
視線を下ろした足もとに、うずくまった黒い物体が。
「…………人?」
『それ』は雨上がりの浅い水たまりに顔を突っ込んで、ぴくりとも動かない。
かがみ込むついでに肩へ手をかけ、ごろりと仰向かせると、泥まみれの黒髪が地面に散らばった。
最初のコメントを投稿しよう!