*3* ノリで美少年をひろう

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*3* ノリで美少年をひろう

「ふぅ……なんとか切り抜けた」  こういうのは、うろたえたらおしまいだ。隙を見せた瞬間にヤられる。  何事もスマートに。必要性のない供給はノーセンキュー。 「思わぬ道草食っちゃったけど……まだ間に合うでしょ」  カチリと蓋をしめた懐中時計をローブにしまって、ひと息つく。  あんなハプニングが、そうそう立て続くわけないしね。  そんなふうに思っていたことが、わたしにもありました。  ──ガッ。 「っとぉ!?」  物思いにふけっていたら、なにかに足を取られて大きくよろめいた。  とっさにふんばってきょろきょろ見わたすけど、目の前にはなにもなくて。  でも、あった。いや、いた。  視線を下ろした足もとに、うずくまった黒い物体が。 「…………人?」 『それ』は雨上がりの浅い水たまりに顔を突っ込んで、ぴくりとも動かない。  かがみ込むついでに肩へ手をかけ、ごろりと仰向かせると、泥まみれの黒髪が地面に散らばった。
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