185人が本棚に入れています
本棚に追加
どれくらいの時間が経っただろう。窓が無いから昼か夜かも分からない。でも監禁されてから半日は過ぎたような気がする。
壁にもたれかかり目の前にある戦利品を眺めていた。水、サンドイッチ、猫用のトイレ。七十点の食事をゲットするのに二十曲以上は歌う羽目になった、でも。
水は最小限、サンドイッチにはまだ口を付けていない。このトイレでするのは流石に厳しい。とは言え尿意はすでに限界を超えそうで、私はその場でもじもじと体を捩らせていた。
「すみませーん!」
「……」
先ほどから声を掛けても返事がない。もしかしたら寝ているのかも知れない。いくら暇でも二十四時間監視するのは不可能なはずだ。
「すみませーん! ちょっと良いですかー?」
「……」
返事はない。
私は体を震わせながら猫用のトイレを見つめた。このまま漏らしてしまうよりも猫用でもトイレでした方が良いに決まっている。
カメラは何処にあるのだろう。私は意を決して猫用トイレを持って部屋の端、入口から一番遠い場所まで移動した。キョロキョロと辺りを見渡してからトイレにまたがる。もう限界だった。
用を足しながら涙が出た。どうして私がこんな目に。
すると突然ガチャリと扉が開いた。心臓が一気に跳ね上がる。視線を向けると子供部屋おじさんがいきなり部屋に入ってきた。
どうして、寝てたんじゃないの。
逃げ出したくても滝のように放出されているオシッコが全然止まらない。
殺される。
恥ずかしさよりも先に命の危険を感じた。
子供部屋おじさんはグングン近づいてくる。私は怖くてしゃがんだまま顔を伏せた。
「サービスです」
頭上からハスキーボイスが聞こえた。私は顔を上げることが出来ないでいると足音が遠ざかっていく。やがてガチャリと扉が閉まる音がした。
顔を上げると子供部屋おじさんは居なくなっていて、私のすぐ横にはティッシュ箱が置かれていた。
最初のコメントを投稿しよう!