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 モモコロ草と魔法水を練り合わせて、腹痛薬は作った。  次はモミ草とシイ草から痒み止めの薬。その次はシロノ草のツユで目薬。薬の材料はすべてリネンの森に生えているから、温室になければ森に摘みに行けばいい。   (調合って楽しい〜)    家、調合室に家具が欲しくなったら創造魔法で作り、自分専用の魔導書を書いて、お腹が空いたらレタスをかじる。師匠のリシャン母がいなくて寂しいが、毎日なにかしらやる事がある。  母が出かけて一月が経った。引き継いだ薬師としての仕事、王族から薬の依頼書が家のポストに届く。それを受け取り中身を確認した。 「化粧水と薬草石鹸かぁ。それを作るのにミキリ草とソソン草、トト草がいるか。温室にはないから森で採らないと」  私は手元にホウキを取り出して森の奥に行き、化粧水を作るのにミキリ草、ソソン草の薬草を摘み。化粧水と薬草石鹸を調合室で作り、お届け魔法陣で王城へ送った。報酬は1ヶ月に一度、魔女銀行に振り込まれるし。王族薬師の証で森の近くの街で安く買い物だってできる。  後、王族専用の魔女薬師に担当がいる。欲しいものを頼めば、次の日には家に届く仕組み。担当への頼みかたは『魔法の呼び鈴』を鳴らして、通信鏡でギャランと言う無精髭のおじさんにお願いすればいい。魔女薬師の資格を取ったときに、師匠と一緒に通信鏡で挨拶は済ませている。 《おぉ薬師魔女バッジは本物だな》 《はい。先月、試験に受かりました、シャーリーと言います。よろしくお願いします》 《まあ、気楽に行こうや》  と言っていたのに。    数日後――呼び鈴が鳴り、通信鏡を覗くと前に挨拶をしたギャランではなく。新人担当者、メガネと茶色の髪の若い男性に代わっていた。 〈はじめまして、この度、魔女薬師様の担当者となりました私『コルサドール・サマンサ』と言います。コルでもコルサドールでも薬師魔女様はご自由にお呼びください。それと、必要なものがあれば何でも『呼び鈴』を鳴らしておっしゃってください〉  何だか、真面目そうな人だ。 〈わかりました、早速なんですがアップルル一箱(12個)お願いできますか?〉 〈アップルル一箱ですね、かしこまりました。お届けは明日の昼過ぎでもよろしいですか?〉 〈構いません、よろしくお願いします〉    今頼んだ荷物がどうやって届くのかと言うと、家の横にリシャン母が使用していた転送魔法陣がある。普段は魔力を切っているため使用はできない。    明日の午後、荷物が届く前に転送魔法陣を起動しておけば、新しく担当者となった『コルサドール・サマンサ』からアップルルが届くだろう。 「届いたら、明日はアップルルパイ作っちゃお。キョン父、明日はアップルルパイね!」 「おお、アップルルパイか楽しみだな」  
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