③2022年/令和4年/4月/遥かなる帰郷の旅路

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③2022年/令和4年/4月/遥かなる帰郷の旅路

【心肺停止】の続き 私の故郷までは早割を利用しないと航空料金は高い 私の予算には限りがあるからだ シビアなのだ だから飛行機より安く早く移動出来るのは新幹線 新大阪駅まで行き、新幹線のチケットを買う為みどりの窓口へ向かった 窓口がやたら騒ついていた 東北に向かう人々が窓口で詳細を聞いていた 状況を把握すると、東北では3月半ばに頻繁に地震が起きていて東北新幹線が途中までしか運行していないようだ 今は4月初め 「全然知らなかった」 地震があったのは知っていた でも新幹線が止まっている事は全く知らなかった 帰省を急いでいたから調べもしなかった チケットを購入する時に窓口の人が教えてくれた 東京からの東北新幹線は郡山までしか運行していない 郡山から仙台までは快速電車 仙台から一ノ関までは鈍行しかなかった 「鈍行!?」 心の叫びが口から出た 鈍行はかなり時間がかかる 原因はどうやら郡山駅から一ノ関駅間の線路が歪んでいるらしい ひぇ〜 担当の方が乗り換える駅を印刷した紙をくれた ありがとう! これを見ながら電車を乗り継いで行く 急ぎ新幹線に乗り、郡山で降りた 郡山駅で降りたのは初めてだった 光の如き速度の新幹線はここまで みどりの窓口スタッフから教えてもらった通りに在来線の東北本線に向かった 仙台行きの快速があったので乗った 仙台に着いた 伊達政宗様の聖地 しかし今は先を急ぐ身 ずんだ餅を食べに…いかんいかん、先を急がねば (次は鈍行に乗って小牛田(こごた)駅で乗り換えか) 宮城県の鈍行列車に乗るのは初めてなのでキョロキョロしながら鈍行に乗った 小牛田駅に着き、乗り換え場所に向かう かなり大勢の人が私と同じ方向に歩いていた みんな大きめのカバンやキャリーケースを持っていたので新幹線に乗る予定だった人達だと思われた ついて行ったら大丈夫、と安心して後ろを付いて歩いた 乗り換えのホームに向かって階段を上がったらスーツ姿の男性が立っていて、 「こっちです!こっちです!」と言い、左方向に手を振り、行く方向を示した この人は誰? 歩いていた人達はスゥーと示す方向に歩いていく どゆこと?と思いながらも付いていく 乗るはずのホームからだんだん離れていく ホームどころか駅から出たよ 駅の外には大型バスが何台も停めてあり、皆んな吸い込まれるように乗って行く (なにこれ?どうしてバスに乗る?) バスに乗った乗客達は無言 (乗っている人達はなんで黙ってるんだろ? この状況に驚いていない? どこに行くバスなんだ? 怪し過ぎる 知らない場所に連れて行かれたらどうするんだよ 強制労働させられてしまうかも) と思いながら、自分もバスの中でちんまり座っている しばらくチーンと座っていたら、スーツ姿の男性が来て説明した 「先程は地震があったので電車は現在停車しています。バスで隣の駅まで送ります」 (あ、強制労働じゃなかった) (また地震があったんだ) バスは動き出し、見知らぬ町並みを見ながら進んだ 右横を見ると、何メールか向こうに止まっている電車が見えた 運行中に地震が起きて途中で停車した電車らしい (なんて日だ) 見知らぬ町をバスに揺られ、電車が通っている駅に着いた 駅名は、何だったかな…忘れた やっと乗れるとホームに出たら、反対側のホームが目的地行きだった エスカレーターも無く、エレベーターもない キャリーケースを持って階段を登る ふーふー言いながら昇っていると、バカでかいキャリーケースを持った男性が私の前を昇っていた 2人で連泊する大きさのキャリーケース 男性は大きなキャリーケースを肩に担ぎ階段を昇っていた 後ろから昇っている妻らしき女性が「頑張ってー」と声をかけていた 頑張れませんよ ようやくホームに着き、電車に乗った もう夕方になって辺りが薄暗くなりかけていた 通勤電車のような横に並んで座る電車 (やっと、やっと、先に進める) ホッとし、座って発車を待った 次々に乗車し、ほぼ満席になった 疲れ切っているのか乗客はほとんど無言 発車時刻はいつなんだろと思いながら待った 30分以上待っただろう 外は真っ暗になっていた 時々流れる車内アナウンスによると、他の電車が到着するのを待っているようだ その電車に乗っている乗客がこの電車に乗るらしかった しばらーく待っていた(寝ながら) 1時間近く待った 発車のアナウンスが流れ、ようやく電車は動き出した ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン、 電車の揺れる音がまた眠気を誘う 家を出発して10時間は過ぎていた
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