花散る君は美しい

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 驚いて振り返ると、間近に人はおらず、かわりに薄桃色の花弁が肩に落ちていた。  確かに立った鳥肌と、耳のくすぶりが残る中、呆然とする。    幻聴?     にわかに顔がのぼせてくる。    不穏に思いながら肩にのった花弁をつまみ、優しく掌で弄んでいると、枝を緩やかに風が揺らした。     ほんの少し、花びらが散る。 ――はらり、ひらり、ふさり。    
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