鴨川市再開発計画

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鴨川市役所一階ロビー 三人はイスに座り、結城と中瀬は下田とはテーブル越しの対面に座った。 下田はポケットから名刺入れを取り出して、名刺入れから自分の名刺を二枚出してテーブルの上、結城と中瀬の前に起き 『私の名刺です。』 結城は自分の鞄の中から名刺を取り出して下田の前に起き 『私の名刺です。受け取って下さい。』 下田と結城は名刺交換をし下田は結城の名刺を見てにっこり笑って 『便利屋の社長でしたか。何かあればお願いします。』 結城は下田の言葉に 『いつでも承ります。』 下田は結城と中瀬を見て 『正直、私の演説で話した事、無理と思いましたよね。』 結城は下田の話しに慌てて 『い、いえ………はい、正直に言えば思いました。』 下田は結城の正直さに笑って 『正直な方ですね。』 下田はそう言うと真剣な表情で 『でも今、鴨川市はそのぐらいの事をやらなければ将来、鴨川市は駄目になります。千倉町、和田町、三芳村、冨山町、白浜町、丸山町、富浦町は赤字赤字で合併して南房総市になったんです。その時、かろうじて合併は鴨川市と館山市は回避しましたが。鴨川市が駄目になればドミノ倒し如く南房総の市町村は駄目になります。』 結城は下田に 『しかし正直に言えば壮大過ぎる計画だと思いました。何年かけてやるんだろうと。』 下田は結城の質問に 『何年かけてもいいんです。現に安房鴨川駅に関係する電車の本数も減りました。車で往き来する人達が増えたのもあります。この計画は今は苦しいですが、少しずつ計画を進めていけば少しずつは潤っていくはずです。これからは観光客以外に鴨川市民を増やしたり、若い世代達にも残ってもらえる市にしないといけません。』 中瀬は下田の話しに 『若い世代を鴨川市に残すには仕事が出来る環境を作らないと。仕事がないから若い世代達は鴨川市を離れて都会に行ってしまうんです。』 下田は中瀬の意見に 『市の財政が潤ってくれば仕事も増えます。って、すみません。演説の延長戦になってしまいました。』 下田は笑って中瀬と結城に謝りスマホで時間を確認し 『すみません、三日間だけプライベートで休暇を取って亀山湖畔に宿泊しながら釣りに出掛けます。』 結城は下田の話しに 『亀山湖畔に宿泊して釣りですか?秘書さん達もご一緒に?』 下田はにっこり笑って 『秘書達には休暇を取ってもらおうと思い私一人で休暇を過ごします。』 結城は下田の言葉に 『議員さんも一人で休暇って取るんですね。そんなイメージが湧かなくて。』 下田は笑って 『ほとんどお忍びってやつですけどね。』 中瀬は下田に 『ここからはどうやって亀山湖に行かれるんですか?』 下田はにっこり笑って 『バスで行こうかタクシーで行こうか、はたまた内房線で木更津駅まで出てから久留里線で亀山湖畔に行こうか。その時の気分で決めます。』 中瀬もにっこり笑って 『それも旅の醍醐味ですよね。』 下田は立ち上がって結城達にお辞儀して 『お引き留めしてすみませんでした。』 結城達も立ち上がってお辞儀して結城は下田に 『いえいえ、それでは気を付けて。』 そのあと結城と中瀬は下田と別れて太海にある事務所に戻った。 ※亀山ダムは、君津市の小櫃川の上流に位置し56年3月に完成した、千葉県で最初のそして最大の多目的ダムです。ダム湖である亀山湖は、四季折々に美しい表情を見せ、25橋巡りのサイクリングやハイキング、周辺各所にはボートハウスがあり、ボート遊び、釣りなどが楽しめます。また、キャンプ場や湖畔公園なども整備されており、自然の中で遊ぶには格好の場所です。
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