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亀山湖畔
《ピー、被害者の名前は県議会議員の下田氏………どうぞ………》
《ピー、こちら本部了解………》
《事件と事故の両面で調べてます。どうぞ………》
《こちら本部了解………》
《聞き込みを開始してますがこれといっての話しは………どうぞ………》
《こちら本部了解………》
『よし、到着した。』
結城が運転している軽トラックが到着すると、地元民や観光客での野次馬、警察関係者と警察車両でごった返していた。
助手席に座っていた中瀬は
『警察関係者や車両で亀山湖畔は凄い事になってるね。野次馬もいっぱいじゃん。』
結城は軽トラックを降りて中瀬の言葉に
『普段こんな事件なんか起きないから珍しいんだろ。それじゃ今泉に会いに行くか。』
中瀬も軽トラックから降りて
『待ってよ~、私も行く~。』
二人は軽トラックを降りて今泉を探した。
暫く探していると
『先輩、こっちです。』
今泉が結城と中瀬を見つけて呼んだ。結城は今泉に
『どんな状態だったんだ?』
今泉は手帳を開き
『遺体は県議会議員の下田氏に間違いありません。』
結城は自分の鞄から手帳とシャープペンを取り出しては今泉に
『昨日、下田さんの講演会が終わってから少しだけ話しをした時に、三日間だけ休暇を取って亀山湖周辺に釣りに行くって言っててさ。』
今泉は手帳にメモをしながら
『秘書達も連れずにですか?』
結城は今泉の質問に
『秘書達にも休暇を取ってもらうとも言ってたよ。で、どんな状態で見つかったの?』
今泉は結城の質問に
『昨日から亀山湖畔に宿泊している男性が、早朝の散歩中にあの赤い橋………』
今泉は指で赤い橋を指し結城はその方角を見て
『うん、あの赤い橋あるね。』
今泉は話しを続け
『あの赤い橋に差し掛かった時に川の岩場に遺体があったそうです。』
結城は今泉の話しを手帳にメモりながら
『あの赤い橋から上流で何かがあったんだろうね。警察は何て?』
今泉は手帳を見ながら
『警察は事件と事故の両面で調べてます。自分の中では殺人だと感じてます。もちろん勘ですが。』
結城は周りを眺めて
『そう言えば死亡推定時刻は?』
今泉は結城の質問に
『まだ解剖してないのではっきりとはわかりませんが、鑑識の話しでは17時から21時ぐらいじゃないかと。』
結城は手帳にメモをしながら
『17時から21時ぐらいね。これ事件と事故の両方になるよな。俺も殺人って予感してる。再開発推進派トップの下田さんには敵がたくさん居るだろうしな。で、所持品とホテルの部屋は?』
今泉は結城の質問に
『所持品ではスマホが見つかってません。服装は釣りに行く様な格好でポケットには浮きや針と財布が入ってました。で、財布から先輩の名刺が出てきまして。ホテルの部屋はこれからです。それと秘書達に連絡を入れてますがまだ連絡はつきません。』
結城は今泉に
『財布が残っててスマホがないって、事故であれば落ちた時に川に流されたか、事件なら犯人が持ち去った?』
中瀬は結城の推理に
『事故で川に落ちてスマホだけ流されて、財布が残ってるって推理はわかるけど、事件で犯人が財布だけ残してスマホを持っていくってわからないな。』
結城は中瀬と今泉に
『まぁ、調べていけばわかるよ。それと今泉、ホテルの部屋、俺が調べに行きたいな。それと秘書達に聞き込みも俺がやるよ。』
今泉は結城の言葉に驚きの表情で
『えっ?先輩も捜査するんですか?』
結城は今泉の驚きの表情を見ながら肩に腕を回しにっこり笑って
『一応は少しだけでも会話した仲だしさ。ん?駄目なの?いいだろ?』
今泉は結城のにっこり笑った表情の裏の表情が見えたのか
『わ、わかりました。先輩にお任せします。』
結城は今泉に
『俺は殺人の方向で捜査する。今泉達は事故の方面で捜査しろよ。』
今泉は結城の言葉に
『わ、わかりました………』
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