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鴨川市小湊町
下田が住んでいた三階建ての貸しマンション
結城は駐車場に車を止め運転席から建物を眺め
『あれ?この建て物、貸しマンションだ。』
中瀬も結城同様に建物を眺めて
『やっぱり県会議員も住んでるところは庶民的なんだな。ところでどうやって中に入るのよ?管理人さんが居れば良いけど。』
結城は中瀬の質問に
『自宅の鍵、下田さんの鞄の中にあったから持ってきた。部屋番号は秘書さんから聞いた住所の最後の数字が302だったから部屋番号は302のはず。』
結城と中瀬は車を降りてマンションの出入口から中に入ると、中瀬は集合ポスト周辺で周りを見渡し
『ここって管理人室がないね。』
結城も中瀬同様に周りを見渡し
『って事は管理人さんは居ないって事だよな。三階に行こうか。』
中瀬はまた周りを見て
『ここ、エレベーターがないのね。』
結城は笑って
『しょうがない。階段で上に行こうか。』
中瀬は結城の言葉に頷き
『三階だからまだいいけど、五階六階以上になると階段はきついよね。』
二人は階段を上がって三階に向かい302の下田が住んでる玄関前に到着した。
結城はポケットから、亀山湖畔で下田が予約した部屋に置いてあった下田の鞄から拝借した鍵を使い
『それじゃ鍵を開けるよ。』
ガチャ………
結城が鍵を開けたあと、中瀬は玄関を開け二人は中に入り
『私が寝室を調べるね。』
中瀬はそのまま寝室に入り、結城は中瀬の言葉に
『それじゃ俺は茶の間を調べるかな。』
結城は茶の間に入り
何か目ぼしい物はないものか………
結城はふとごみ箱に目がいくと白い紙がクシャクシャになって捨ててあった。
なんだ?ごみ箱がいっぱいじゃん………
結城はごみ箱の中に捨ててあったクシャクシャになっている白い紙を拾い、出来る限り綺麗に伸ばして見てみると
パソコン書きの文字だな
………っっっ!?って、これ怪文書?脅迫状?
結城はパソコン書きの内容を読むと
《今すぐに鴨川市の再開発を止めろ。止めないとお前がどうなるか………》
結城は次のクシャクシャになった白い紙を出来る限り綺麗に伸ばし
消印が鴨川市や南房総市、館山市、これなんか大多喜町、これは勝浦市、こっちは御宿町、千葉市もあるじゃん。これは白浜町になってる。おっ、これは新聞紙を一文字一文字切り取っての脅迫状かよ。まるで昭和の刑事ドラマだぜ………
《鴨川市の再開発を止めないとお前を………》
おいおい、しかもごみ箱に入ってるクシャクシャになった白い紙は全部脅迫状じゃん………下田さん、どこまで恨まれてたんだよ………
結城はごみ箱に入っていたクシャクシャに捨ててある紙を全部綺麗に伸ばして鑑識仕様のビニール袋に入れた。
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