プロローグ

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午前中、鴨川市役所大ホール 『鴨川市の再開発はこれからの観光客を呼び込む事にも良い意味で影響します。これからの鴨川市は今まで通りリゾートでお客様を呼び込むのは当たり前で、今までよりレベルを上げれば鴨川市は安泰です。』 鴨川市議会議員の下田 善孝(58)は壇上で身振り手振りを交えてマイクに向かい熱弁をふるっていた。 下田 善孝(58) (しもだ よしたか) 千葉県議会議員。鴨川市再開発派のトップ。鴨川市の財政を潤す為に鴨川市再開発を推し進める。しかし反対派も存在する。 『鴨川市の医療も鶴田病院をはじめ駅周辺に数件病院があります。鶴田病院をもっと大きくし、ドクターやナースを増やし、今は東京駅から鶴田病院までバスが走ってますが、近い将来は横浜駅、水戸駅、さいたま新都心、高崎市、栃木市、関東各地からバスを鶴田病院まで走らせる計画もあります。』 座って話しを聞いている結城純一郎と結城の右横に座っている中瀬佳純が居た。壇上で熱弁している下田を見ながら結城は小声で 『鴨川市出身の県議会議員、下田さんの話しだけど、この計画が実行されたら今までの鴨川市の面影が無くなる気がして寂しいよな。』 中瀬も小声で 『うん、私も同じ意見だな。今までの風景を残しながらは無理なのかな?』 結城は左横に座っている鴨川市役所の開発課係長の小田山 新太郎(26)に小声で 『もの凄い計画ですが、鴨川市が鴨川市じゃなくなってくる様な気がします。』 小山田 慎太郎(26) (こやまだ しんたろう) 鴨川市役所の開発課主任。便利屋純一郎とは仕事面で最近知り合った。休日は趣味のロードバイクに乗って遠出する事らしい。 便利屋純一郎に参加不参加の手紙を送った本人、小田山は結城の話しに小声で 『確かに凄い計画です。ですが計画は計画ですから。今の鴨川市の財政では不可能な部分もあります。ですが少しずつですが計画は始まってますよ。』 小山田の開発課の後輩の穴山幸太郎(23)も小山田同様に結城に 『計画が始まってますが、その中の計画で無謀な計画も着工されてると聞いてます。』 穴山 幸太郎(23) (あなやま こうたろう) 開発課の小山田の後輩で小山田にかわいがられている。 壇上で下田は 『鴨川市の人口を増やそうと小湊町には山の中腹に海が一望出来る高齢者施設専用のマンションも出来ました。』 結城は下田の演説に小声で中瀬に 『小湊町に出来た高齢者マンション、あれにはびっくりしたよ。まさかあんな場所に高齢者マンションを建てるなんてな。』 中瀬は結城の言葉に小声で 『しかもあの高齢者マンション、高い部屋で一億円越えてるんだもんね。普通の家庭で生活してたらそんな高い部屋は買えないよ。確かあのマンションって鶴田病院が資金を出してるんだよね。』 小山田は小声で二人に 『あの計画は自分が開発課に異動になる前の計画で、あのマンションが出来上がる頃に開発課に異動になりました。自分もあのマンションの計画と部屋の値段には驚きましたよ。はい、鶴田病院が資金を出しるのでドクターとナースは鶴田病院から派遣されます。』 結城は小声で中瀬と小山田に 『多分あのマンションに入る人達って名の知れた会社の幹部以上の人達だろうから、その部分から鴨川市を潤す計画が始まってるんだろうな。』 中瀬は結城の言葉に頷き 『だけど山の中腹にって、私からすれば小湊町の風景がちょっと………』
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