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その日の夜、居酒屋大将
厨房から出てきた美和子は結城達が座っている座敷のボックス席に日本酒を持ってきて
『下田さんが事件か事故で亡くなったなんてね。確かにあの人は市議会の頃から鴨川市の再開発を掲げてたよ。はい日本酒。』
美和子は持ってきた日本酒を結城の前に置き
『ありがとう。だけどその脅迫状の束を見て色々と恨まれてるんだな~って実感したよ。』
野間口は生ビール大ジョッキを持ってきて結城達の前で立ち飲みしながら
『しかし何通も来てる脅迫状って怖いよな。』
結城は日本酒を一口飲み
『俺の予想だけど、下田さんは贈賄収賄はやってた気がする。そうでもしないと簡単に再開発なんて出来ないだろ。』
小百合は結城の話しにサワーを飲みながら
『建設会社とか相手にでしょ?他には土木会社とかさ。』
佳奈枝も結城の話しにワインを飲みながら
『贈賄収賄の他にも まぁ、談合もやってるんだろうね。こんなのには付きものじゃん。』
中瀬は酎ハイを飲みながら
『政治家なんか贈賄収賄やって自分の懐を潤わせてるんでしょ。この再開発にいくらお金が動いたんだかしらないけどさ。』
敬子は中瀬を心配して
『佳純さん、大丈夫?もう酔っぱらっちゃったの?』
中瀬は敬子の心配に
『まだ酔っぱらってないよ。私は政治家って嫌いだな。国の為にって考えてやってる政治家って一握りもいないと思うよ。』
小百合はサワーを飲みながら中瀬の言葉に
『大抵の政治家は自分の懐が潤わなきゃ本気でやってないもんね。私も政治家は好きじゃないな。裏で何をやってるかわからないし。』
佳奈枝は赤ワインを飲み
『私は社長として何度か地元の政治家さんにお会いしたけど、笑顔の裏で何を考えてるかわからない感じだったわ。みんな遠回しにお金を寄付してくれって言ってる様なものだったよ。』
結城はみんなのは話しに笑って
『印象的に政治家って良く思われてないんだな~。』
美和子は自分が飲む生ビール大ジョッキを持ってきて一口飲み
『当たり前じゃない。取る物はさっさと取るくせに、配る物は凄く遅すぎなんだよ。再開発するなら私の地元、鴨川市の金束辺りも栄えさせてほしいわ。駅から遠いし、バスは走ってても数少ないしスーパーも近くにないし、車が無きゃ生きていけない土地だよ。』
※鴨川市金束(こづか)と読みます。128号線から長狭街道に入り10キロぐらい走った場所にあります。風景は山と田園風景の場所です。
敬子は美和子の言葉に
『それ言うなら私の実家もそうだよ。バスは走ってないし、近くにスーパーもないし小学校も中学校も遠かったよ。中学校は一駅先の千倉駅だもん。私の実家も車が無ければ生きていけない場所だよ。』
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