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急ぎの仕事が終わり、浜行川の国道から一本道を挟んだ人通りのない山林の駐車場に車を止めた。
軽トラックの助手席に座っている中瀬は運転席に座っている結城に
『ところでさ、秋山議院ってここにはどうやって来たの?』
結城は中瀬の疑問に
『そう言えばそうだね。野間口と来た時もこの駐車場に止めたんだけど、被害者の車じゃないかって車は止まってなかった気がする。』
中瀬は結城の言葉に
『私、思ったんだけど、亀山湖畔で言い争いになったって証言があったじゃない。あの時だって秘書の長田さんがレンタカーで借りた車で亀山湖畔に行ったんでしょ?車の免許はなかったのかな?』
結城は中瀬の意見に
『もしかしたら免許がないかもね。でもこの場所にどうやって?』
中瀬はカーナビを見ながら
『もし電車で来たならここから一番近い駅は行川アイランド駅だけど~………』
結城もカーナビを見て
『それでも駅からは離れてるし、タクシーかな?大門に聞いてみるか。』
結城は鞄からスマホを取り出した。
『もしもし大門、お疲れ~、結城だけど教えてほしい事が出来た。』
《もしもし大門です。お疲れ様です。教えてほしい事?どうしました?》
『実はさ質問があるんだけど、秋山議院の死亡推定時刻はわかったの?』
《まだわかってないですね。わかり次第、先輩に連絡入れますよ。》
『それとさ、秋山議院って現場までどうやって来たんだ?駐車場にそれらしき車はなかったよな。』
《そう言えば駐車場には車は止まってませんでしたね。電車?はたまたタクシーで来たんでしょうか?》
『って、警察はその辺りは調べてないの?』
《警察は自殺と断定しましたから秋山議院の事件は終わりです。》
『死亡推定時刻が行川アイランド駅の終電が終わったあとなら水面下でタクシードライバーに聞き込みをしてくれないか?』
《水面下でですか?わかりました。ただ、どこからタクシーに乗ったかはわからないから、見つからない可能性もありますよね。》
『その時は作戦会議をして別の方面から攻めるしかないだろ。』
《それじゃ先輩、死亡推定時刻が行川アイランド駅の終電が行ったあとなら、植松を先輩達にお貸ししますよ。》
『植松投入か。そうしてくれたら助かるよ。』
《その時は植松をよろしくお願いします。では秋山議院の死亡推定時刻がわかり次第連絡します。》
結城はスマホを切り鞄に仕舞い中瀬に
『警察は自殺と断定したそうだ。』
中瀬は結城の言葉に
『それならそれで好きに捜査が出来るって事じゃん。』
結城は自分の鞄を持ち中瀬に
『そう言う事だね。それじゃ、調べにいきますか。』
中瀬も自分の鞄を持ち
『りょーかい。』
結城と中瀬は軽トラックを降り事件現場に歩いた。
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