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結城はエレベーターホールを眺めると
『エレベーター、中々来なさそうだから階段で下に行こうか。』
中瀬も結城同様にエレベーターホールを眺めながら
『中々、来そうになさそうだもんね。うん、階段で行こう。』
結城と中瀬は階段から一階に降りる事にした。
階段を降りてる途中、中瀬は結城に
『そういえばさ~、雑誌で読んだ事があるんだけど、市役所のすぐ近くに春先になると菜の花がたくさん綺麗に咲いてる場所があるんだよね~。』
結城は中瀬の言葉に
『それ確か菜々畑だっけ?鴨川市役所から見えるはずだよ。ここからなら歩いて直ぐの場所だよ。』
中瀬は結城の話しに
『でもさ、私達が高校の頃にはなかったのにね~。』
結城は笑って
『その催しを始めたのがここ数年ぐらいみたいだよ。それこそお客を呼ぶ為の催しだよな。』
中瀬も笑って
『鴨川市や南房総市は花でも勝負出来るもんね。千倉町の白間津の花畑なんか凄く綺麗だもんね。』
結城は中瀬の話しに
『白間津の花畑は海が目の前だし花畑は綺麗だし俺は好きだよ。しかもあそこは観光バスも来るぐらい有名な場所だもんな。』
中瀬は結城に
『あそこは花摘みも出来るから、前に花摘みして私の両親の誕生日や母の日や父の日に花をを贈った事あるよ。』
結城は中瀬の言葉に
『中瀬さんは親孝行だな。俺は贈った事ないな。』
二階に差し掛かったところで二階フロアから階段に歩いて来た男がいた。その男のは結城達を見て
『もしかして五階の大ホールで私の話しを聞きに来て頂いた方ですよね?』
結城はその男を見ると先程まで結城達の前で鴨川市の再開発で熱弁をふるっていた下田だった。
結城は下田を見て下田の記憶力に驚きながら
『はい、そうです。しかしあれだけ人数がいてよく覚えてましたね。』
中瀬も結城同様に
『私も同じ事思いました。』
下田はにっこり笑って
『私の講義も終わったし無礼講でいきますが、私の講義は正直に言えば皆さん義理で来て頂いてる感じでした。あくびをしてたり、スマホをいじってたり、寝てたりと。あなた方は真剣に話しを聞いて頂いてたから覚えてました。壇上に上がると後ろまでよく見渡せるんです。』
結城は下田の正直な言葉に笑ってしまい
『よく見渡せるんですね。確かに寝てる方もスマホをいじってる方も居ましたね。』
下田はにっこり笑って
『あの、良かったら一階のロビーでお話ししませんか?』
結城は下田の誘いに
『わかりました、良いですよ。』
三人は階段から一階のロビーに向かった。
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