01 鬼の子

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学校全体の生徒から避けられ、虐められている私の唯一の味方は、同じ高校に通う従兄弟(いとこ)鬼王 光希(きおう こうき)だった。 光希のお父さんと私のお父さんが兄弟なので 光希もまた、(おに)の子だった。 同じ鬼の子でも私と違うのは光希が男子ということ。これが、天と地ほどの差なのだ。 「茜!一緒に帰ろう」 授業が終わると、従姉妹の光希が私のクラスにいつも迎えにきてくれる。 彼が教室に来ると黄色い声が飛び交い、辺りは騒然とする。 「光希様だ〜」 「今日もカッコいいですね」 「光希様を拝めたから良いことありそう」 栗色で癖毛のようにふわふわした髪の毛に、目鼻立ちがくっきりとしていて、学生の中でも目を引く容姿をしていた。 その上、鬼王(きおう)家の男児は"幸運の子"と呼ばれ、他民を幸福にすると言い伝えられている。 古くからの名残りは今も残っていて、町の人は光希(こうき)のことを"光希様"と呼ぶほどだ。 学校でも光希と親しくなりたい人は後を立たず、歩いてるだけで黄色い歓声を浴びるのだった。 寄ってくる人だかりに嫌な顔を一切みせずに、笑顔をキープしつつのらりくらりと対応するのは、まるで一国の王子様のようだった。
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