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⋆⸜꙳⸝⋆
その日はカーテンの隙間から差し込む太陽の光で起きた。アラームよりも先に自然と目が覚めたので、心も晴れているように軽くなる。
2学期が始まり、夏休みは終わったというのに残暑は厳しく一向に涼しくなる気配はない。
鬼の子の呪いを気にして、年中口元をマスクで覆っている私にとっては暑さは天敵だ。
朝からムシムシと暑さを感じて、軽くなった心もどんよりしてしまう。重い足取りのまま学校へ向かう。
校舎に1歩足を踏み入れると熱気と生徒の笑い声に包まれ、エネルギーが爆発してるようだ。
そんな中でも、私への悪口は耳まで届く。
「鬼の子じゃん・・・・・よく学校来れるよね〜」
「私が鬼の子だったら、周りの人のこと考えて学校生活やめるけどね———」
教室に向かうために、ただ廊下を歩いているだけで、すれ違いざまに悪口を言われる。
悪口は数えきれない程、毎日言われているけど
面と向かって私に文句を言ってくる人はいなかった。
面と向かっては言わないくせに、私に聞こえるように、わざと大きな声で悪口を言うのだ。
「お前らだって、ビビリじゃん・・・・・
光希がいる時は何も言ってこないくせに」
私はぽつりと呟く。
光希は朝に弱くギリギリまで寝ているので、1人で登校することが多かった。
光希が側にいない時は、決まって悪口を言われ続ける。
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