03 鬼の子に触れる手

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「えっ?」 「えっ?」 私の顔が赤くなったのを見て、何故か(つな)君の顔も赤く染まっていった。 「・・・・・いや、可愛いっていうのは、 えっと———。言葉のあやで・・・・・」 顔を真っ赤にしながら、あたふたする様子は可愛らしくて私まで笑ってしまった。そして、また目が合うと2人で笑いあった。 「昔から家族に鬼の子だから、鬼歯(おにば)があるんだって言われ続けてきたから・・・・・ 八重歯(やえば)っていう別名があるのも知らなかった」 「友達とかに教えてもらわなかったのか?」 「友達なんて出来たことないから・・・・・」 「なんで?」 「なんでって、 ・・・・・鬼の子だから」 「そんなことで?! そんなことで友達いねぇのかよ・・・・・」 鬼の子ということを、気にする様子もなかった。 本当に鬼の子だということを気にしてないのだろうか———。社交辞令?適当に言ってるだけ? でも、綱君の言うことは嘘には感じなかった。 今日初めて会ったばかりだけど、綱君にはそう感じさせる何かがあった。
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