190人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
「鬼の子のことをそんなことって言ってくれてありがとう。そんな風に言ってくれたのは、綱君だけだよ」
「もっと鬼っぽくツノとか生えてたりしたら、『おっ!鬼だ!』ってなるけどな」
少し悩んでるような顔をして綱君は言った。
———数秒の沈黙が続く。
私の頭には小さな小さな角が生えている。ふわふわの髪の毛のおかげで、小さいツノが隠れて見えないだけだった。
このことを普通に伝えればいいのに、言葉が出てこなかった。
今のように普通の子と同じように接してもらいたい———。ツノが生えていることを知ったら、もう話してもらえないかもしれない。
そんな考えが能裏を過ぎって言えずに動けなかった。
最初のコメントを投稿しよう!