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椅子を引く音と同時に、両手に今までに感じたことのない、あたたかい温もりを感じた。
「手は触れても死なねぇみたいだな・・・・・」
綱君は私の両手を握っていた。一瞬何が起きているのか理解出来ず、固まってしまった。
手に伝わるこのあたたかいものは人の肌・・・?
手を握られるとこんなにあたたかく優しいんだ。
手?———私、手を握られてる?!
手を握られているという事実を頭が理解すると、途端に恥ずかしくなり、握られていた手を勢いよく放した。
「な、なに・・・・・してんの?」
今、手を握られた?
鬼の子なのに、手を握られた?!
あたたかい温もりと、肌に触れた感触がまだ少し残っている。
突然、手を握られた驚きと恥ずかしさで頭がパニック寸前だった。頭の中で忙しなく会議が行われている中、私はハッと大変なことに気付いた。
「綱くん!私を握った手大丈夫?」
鬼の子の手を握って、綱君の手に異常が出ないか不安が一気に押し寄せてきた。
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