03 鬼の子に触れる手

10/13
190人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
椅子を引く音と同時に、両手に今までに感じたことのない、あたたかい温もりを感じた。 「手は触れても死なねぇみたいだな・・・・・」 (つな)君は私の両手を握っていた。一瞬何が起きているのか理解出来ず、固まってしまった。 手に伝わるこのあたたかいものは人の肌・・・? 手を握られるとこんなにあたたかく優しいんだ。 手?———私、手を握られてる?! 手を握られているという事実を頭が理解すると、途端に恥ずかしくなり、握られていた手を勢いよく放した。 「な、なに・・・・・してんの?」 今、手を握られた? 鬼の子なのに、手を握られた?! あたたかい温もりと、肌に触れた感触がまだ少し残っている。 突然、手を握られた驚きと恥ずかしさで頭がパニック寸前だった。頭の中で忙しなく会議が行われている中、私はハッと大変なことに気付いた。 「(つな)くん!私を握った手大丈夫?」 鬼の子(わたし)の手を握って、(つな)君の手に異常が出ないか不安が一気に押し寄せてきた。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!