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涙を流した事の経緯を伝えた。
いじめられて泣かされた涙ではなく、嬉し涙だったということを。
———これで誤解が解かれると思っていた。
「は?なんだよ・・・・・それ」
私の考えとは正反対に光希の表情は強張っていた。
「はあ———。」
怒っていると思ったら大きなため息をついて、顔を両手で押さえ込んでいた。
「余裕ないとか、俺・・・・・ダセェ」
消え入りそうな声で呟いた。顔を手で覆っているので表情は見えなかったが耳まで真っ赤になっていた。
なんて声を掛けていいか分からず戸惑っていると、口を開いたのは綱君だった。
「お前ら、付き合ってんの?」
「いや、付き合ってはな・・・・・」
「許嫁みたいなもんだよ。
鬼の子は誰も貰ってくれないだろうから、俺がもらってやるって約束してる」
私が言い終える前に光希が被せてきた。
「何言ってんの?」と目線で伝えようとするもの、一向に目線を合わせてくれない。
(許嫁なんて初耳なんですけど———。そんなこと言われた事もないし、言ったこともない。)
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