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「まずは・・・・・、蔵の鍵が何処にあるかだな」
「お父さんか、お母さんが常に持ってるなら、もうアウトだよね。バレずに鍵を奪うなんて不可能だもん」
綱君は、なにか考えているような顔をして言葉を発した。
「鍵ってどんな形なんだ?」
「うーん。確かよく見る鍵だよ?」
思いついたようにスマホをポケットから出した。
スッとスマホの画面を指で操作していて、なにか検索しているようだ。
「その鍵の形ってこれか?」
グイっと携帯の画面を私の目の前に突き出した。
その画面を覗き込むと、映し出されていたのは、鍵の写真だった。
古い記憶を辿って、鬼王家の蔵の鍵はこの写真の鍵と同じ形だったことを思い出した。
「そう!この形と同じだよ」
「シリンダーね・・・・・。これなら俺イケるかもしんねェ」
(イケる?何がイケるんだろ?)
頭の中にハテナが沢山浮かんだ。
「お前・・・・・、まじかよ!」
不思議そうにしている私の隣で、光希は驚いた顔をしながら、ガッツポーズをして喜んでいる様子だった。
「もしかして・・・・・、鍵を開けられるかもしれないってこと?!」
「ああ。まだ分かんねェけどな」
面倒そうに気だるげに話すのに、肩を回して腕捲りをしたりして、行動はやる気は満々に見える。
(綱君って、言葉と行動が裏腹なんだよな・・・・。)
口調は面倒そうに話すんだけど、助けてくれたり、不器用なのかな?本当は優しいことを知っているから、思わずクスリと笑ってしまう。
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