桜散るらむ

1/4
前へ
/4ページ
次へ
アタシは桜がキライだ。 パッと咲き、パッと散る。 その一瞬のために無駄にエネルギーを費やし、あっけなく散る。 何をやっても上手くいかないアタシの人生そのもののようで。 アタシは桜がキライだ。 咲いてる時や、散り始めの花びらが舞い始めた時はチヤホヤされるのに、一度地面に落ちれば、もうどれも見向きもされない。 道端の隅に吹き寄せられ、塵や泥に塗れて朽ちていく姿は、アタシの将来を暗示しているようで。 アタシは桜がキライだ。 桜が咲いたとなれは、急にチヤホヤされ、皆が集まって、その桜の花を愛でる。 時にはその周りに集い、酒を飲み、大騒ぎ。 でも桜の咲かないその他の大半の時間は、誰にも見向きされない。 普段は気にも留めてもらえないその存在感が、まるで今のアタシのようで。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加