桜散るらむ

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でも、こんなアタシでも、桜の花が好きになった時期がある。 それは5年前。 こんなアタシを好きになってくれたタケル。 タケルが桜の花が好きだった。 それに因んでなのかどうかは今となっては分からないけど、タケルは、街外れの小高い丘の上にある大きな桜の、満開に咲いたその花に包まれながら、アタシに告白してくれた。 その次の年も、そしてその次の年も。 1周年、2周年の記念日にはその小高い丘の上の満開の桜の木の下で、二人でささやかにお祝いした。 “来年も、二人でお祝いしようね”って、約束しながら。 タケルの影響もあって、いつしかアタシは桜が好きになっていた。 そして、二人の愛を再確認するために、桜の花が咲くのが待ち遠しくなっていた。 でも、その約束…、二人で満開の桜の木の下で3周年のお祝いする約束は、果たされることはなかった。 3周年が来る前のクリスマス前。 アタシはタケルにフラれた。 タケルは理由は言わなかったし、アタシも聞かなかった。 もう二人ともいい大人だから。 でもふとしたきっかけで、アタシはその理由を知ることとなった。
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