桜散るらむ

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あれ以来。 アタシは、やっぱり桜がキライになった。 アタシの中の奥深くに眠る、ドス黒い感情や記憶を思い起こさせてしまうから。 アタシはまた桜がキライになった。 桜を見てると、アタシの足元で無様に泣いて懇願するアイツの姿を思い出すから。 アタシはまた桜がキライになった。 桜を見てると、息も絶え絶え、最期に振り絞ったアイツの“ゴメン…”が聞こえてくるような気がして。 アタシはまた桜がキライになった。 暗闇の中、赤く光ったナイフをのことを思い出してしまうから。 そして、あの桜の木の下で眠るアイツとの楽しかった日々さえも思い出させてしまうから。 了
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