2020年3月2日

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2020年3月2日

 ある年の正月のこと。いつもみたいにおばあちゃん家で雑煮を食べてゴロゴロしていたところだった。突然テレビから  「中国から謎のウイルスが発生しました。」 という音声が聞こえた。 「騒ぎすぎだろ。どうせすぐに収まるわ。」 ーそう思っていた。違かった。この騒動は私の手が届かないレベルの騒ぎになり、私の生活は変わった。というより変わってしまった。私の生活も楽しみも心も終わってしまった。決めてはこれ。 「全国の小学校、中学校を一斉に臨時休校にすることを要請します。」 朝起きて居間に行ってすぐだった。ときの総理大臣のこの一言で、本当に何もかも変わってしまった。 その日、学校に行ったら臨時休校にするという知らせがあった。小3の時から教えてくれた先生は号泣し、泣いている友達もいた。私は泣けなかった。悲しみよりも悔しさが大きすぎた。多くの宿題を抱え、何もできない自分の非力さをくやみながらいつもみたいに一人で家に帰った。  それかは、ひたすら家にいてひたすら宿題をするばかりだった。一度お母さんと学校に行って持ち帰り切れなかった荷物を取りに行った。担任の先生とも会ったけど、ほとんど話さなかった。  夜、いつも泣いた。悔しすぎて。ふざけんなふざけんなふざけんな。今さら気づいた。日常は当たり前に来ない。すぐに壊れる。それになんでもっと早く気づかなかったの。自分が憎くて全部が嫌い。 自分でもわかってた。心がすさみ始めてることに。誰か私の話を聞いて。私のことを知らない誰かに話を聞いてほしくてたまらなかった。
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