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【著:円する様】FLOWER GATE【悲恋ファンタジー】
こちらの作品は完結済みになりますので、総評をば。
――今のご時世だからこそ、読んで欲しい一品です。
最初は、子供のために、次は自分自身のために、愛を求めた主人公。
それに応える献身的な女性と、父に恩返しをしたい少女。
美しい家族愛ですが、愛があるからこそ、何も知らせられないジレンマ。
序盤の主人公は義務感で愛を与えている、と感じたからでしょうか。
おそらく、内面には自罰的な一面を内包していると、お互いに察しあっていらからこそ、悲恋なのではと愚考しました。
我が命、我が正義。全てを投げ去ってでも、取り戻したい人に出会えた奇跡。
しかし、無神論者である、私はこうも思いました。
すべては、当然の帰結であると。
救われたいから愛を求めた。
不純な動機と片付けるのは簡単ですが、そうもいかないのが家族愛。
子は鎹、とは言いますが、やはり母は強しでしたね。
……さて、惜しかった点を挙げるならば、この構図や文体は「カルロ・ゼン先生」作、某戦記物語の特色を色濃く残している点ですね。
娘への愛のために迷わず死地に行く父親、アニメ版のラスボスです。
もし、原作読まれてないのなら仮想SF戦記の教科書として最適です。
ただし、長編ですので本家を買うのならばお覚悟を。
硬い文体は、昨今の若者層よりも高年齢にシンパシーを与えられるのでは、と思いました。
最期に一言、疑問点を。
主人公が、愛のための殉死は許容できたのは何故でしょうか。
今が良ければ、それで良し……?
妻の早死にも仕方がないことだと、割り切れているようには見えないエピローグですね。
あえて、完結の着地をビターエンドにしたのでしょうか。
まあ、戦争なんて正気ではできないとも言いますから……。
折角の「奇跡の再会と美しい悲恋物語」を土足で汚すような真似をしてすみませんでした。
忌憚のない意見をとのことでしたので、軍記物語にありがちな問題を提起して、感想を終えたいと思います。
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