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「さて姫よ、お前は私のものだ。
生きるも死ぬも私次第。
どうだ、私が恐ろしいか?」
世にも恐ろしいドラゴンは、地を這うような低い低い声で、攫ってきた〝姫〟を脅しました。
そんな恐ろしいドラゴンを前に、〝姫〟は真っ直ぐにドラゴンを見つめ、それはそれは美しく完璧な笑みを浮かべていました。
薔薇色の頬、真珠のように輝く白い肌、瞳は晴れ渡る空のように青く煌めき、まるで光を集めたかのような金色の髪、そして、桃色の愛らしい唇を開き、〝姫〟は言いました。
「誠に残念ながら本物の姫様は亡くなりました。
わたしは姫様の代わりを務めていた、いわゆるロボットです」
「は?」
ドラゴンがこんなにも間抜けな顔をしたのは、後にも先にもこの時だけでした。
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