一夜目・怪異を化かす

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一夜目・怪異を化かす

 常夜(じょうや)高校には、夜にしか開かない相談室がある。  それは本来の相談室の隣にひっそりと並んでいる。昼間は空き教室、それどころか物置同然だが、日が沈み切ると明かりを点けて扉を開ける。  スクールカウンセラーはたった一人。廊下で響く生徒達の喧騒が遠のいていくのを聞きながら、静かに来訪者を待っている。  どうして日が暮れてから相談室を開くのか。どうして彼はこの奇妙な仕事を引き受けたのか。  その理由は、夜だけが知っている。
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