138人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
「ブライアン! ケイトよ! お願い、返事して!」
……ケイトの声が聞こえる。あり得ない。ケイトは私を嫌っているはずだ。カイルを死なせた私を恨んでいるはずだ。
「……夢か……」
「ブライアン、夢じゃないわ! 私たち、ここにいるわ!」
重い瞼をようやっと開けた。靄がかかっていたが、ケイトの顔が見えた。ずっと、会いたいと思っていたケイトが。夢でもいいから触れてみたい。そう思って力を振り絞り、手を伸ばした。すると、ケイトの温かな手に触れた。
「ブライアン、私がわかる……? ケイトよ。ブライアン、会いたかった……!」
ケイトが私の首に抱きついてきた。夢なのだろうか? だが確かに、温もりを感じる。
「ケイト……」
(愛している……)
それきり、また私の記憶は途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!