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「私を、許してくれるのか」
「許すだなんて、そんなこと。最初から思ってないわ。あなたが帰って来てくれて嬉しい、ただそれだけなの。あなたの姿を見た時どんなに嬉しかったか……だって私、あなたを愛してるから」
涙に濡れる瞳でじっとブライアンを見つめるケイト。
「……私が愛してもかまわないのか?」
ケイトは頷く。
「こんな醜い顔になってしまったが、それでも」
ブライアンの左目は傷痕で閉じているが、青い右目は変わらず美しかった。その目をケイトは見つめ返し、左頬の傷に優しく触れた。
「醜くなんかないわ。この傷痕も全て愛しいの」
「……ケイト」
ブライアンは頬に触れるケイトの右手をそっと取り、その手の甲にキスをした。
「愛してる、ケイト。私と結婚してくれないか」
ケイトは泣きながら笑っている。幸せで、愛しくて。
「……もちろんよ、ブライアン! あなたが言ってくれないなら私から言おうと思っていたのよ。私と結婚してって」
ブライアンはゆっくりと身体をケイトの方へ近づけた。ケイトも立ち上がりブライアンに身体を寄せて……二人は初めてのキスをした。
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