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翌日。夕方過ぎに練習を終えた少年達は、学校内を探検し、大人達の目を盗みながら必要なものを集めた。
消灯時間が過ぎると、1本の蝋燭の灯りを頼りに、百鬼夜行に紛れる準備をする。絵の具で顔を塗ったり、偶然見つけたボロの傘に目を描いたり。拾ってきたガラクタを自分に巻き付けたりして、妖怪になりすます。
全員変装を終えると、蝋燭の火を吹き消し、時折互いの膝や頬をつねりながら、丑三つ時を待った。
「そういや、こうも暗くちゃ、時間が分からないよな?」
「大丈夫だよ。百鬼夜行は、にぎやかだから」
鬼の子の言う通り、丑三つ時になると、にぎやかな音が聞こえてきた。大きな足音や、何かを引きずるような音。おどろおどろしい声などが聞こえてきた。
外に出ると、火の玉と共に、おびただしい数の妖怪が町の中を練り歩いている。
「怖いよ……」
「人間だってバレたら、食べられるかも……」
「大丈夫、大丈夫だよ」
怯える子達に、鬼の子は笑いかける。
百鬼夜行が、少年達の前を通りかかる。20体ほどの妖怪が通り過ぎたところで、鬼の子が掛け声をかける。
「そら、今だ!」
合図と共に、妖怪達に紛れ込む。ある者は唐傘に身をかくし、唐傘お化けのふりをし、ある者は、顔全体に肌色の絵の具を塗り、薄目を開けてのっぺらぼうのふりをした。
もちろん、鬼の子はそのまま鬼として彼らと共に練り歩くのだった。
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