青春短歌劇場

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 仕方ない。  イヤフォンを耳に突っ込む。  ランダムな再生がたまたま雰囲気ある曲を拾ってくれた。  湿気がしんみり私の周囲に降りて、静けさの羽に包まれる。  不思議──  音を遮断しただけで「桜と私」が密になる。  舞うと言い表すとこも、見た目も似てる花と雪。  歌詞でも見かける雪のように舞う花という素敵な表現。  雪がしんしん降ると最初に言い出した人は天才だと思う。  だって静けさを音で表すなんて。  目や肌で聴く音も存在するんだろうな。 「だから今   耳に流れる  曲よりも   しんしん響く   花積もる音」  私の瞳が震えてる。  しんしんという音に共鳴して。  奥に入って内側から震えてくる。  身体のどこで受信してるんだろう。   
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