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里依さんが真のことが好きで、例え真への点数稼ぎに友人の僕と仲良くしようとしているのだとしても、僕は里依さんとのこういう時間が嫌いではない。
……嫌いでないことが、問題だとは思っている。やがてこの人が僕の友人グループを壊してしまうかもしれないのに、僕はこの人のことを”他人”ではなく”そうじゃない”方ーー即ち”友達”だと思い始めているのだ。
(少し優しくされただけで絆されるとか)
人間関係の経験値が少ないせいで、見た目が好みで可愛い人に優しくされたというだけで、簡単に心を開いてしまいそうになる。いつもなら黙っていられたのに、沈黙を破ってしまったのはきっと今日は少しだけ弱っているから。
「僕はコミュニケーションは上手くない。愛想がないってよく言われるし、僕も他人と仲良くしたいとは思わない。かと思えば急に感情的になることもある」
「出来ないことやしたくないことは誰にだってあります。ーーでっ、何があったんですか?」
話してくれるのが嬉しいとばかりに前のめりになる里依さんの服の袖が紅茶につかないように紅茶の位置を移動させる。こういったところが里依さんは本当に年上らしくない。
(僕はどうしてこんな面倒で子供っぽい人に人生相談なんかしようとして)
おかげで少し正気に戻れてよかった。
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