戸惑いの太刀魚

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 僕は観念した。  里依さんにこれ以上僕のペースを乱されるくらいなら、”他人”の話をしている方が幾分か気が楽だ。 「冴島さんは僕のこと、怖くない?」 「? 怖くないですよ」 「......。」  こういう、秒で僕の欲しい言葉をくれるあたりが、里依さんらしくて嫌いだ。きっと誰にだってこんな風なことを言っているに違いない。  今は引っ越してきたばかりの彼女の友人が少なくて、僕に構ってくれているだけで、きっとすぐに僕への興味は薄れるはずだ。 「僕はバイト先の女子高生に怖がられてて」  僕は今日あったことを話しはじめる。大したことはない。 (この人はきっと僕の相談なんてすぐに忘れる。だから、大丈夫)
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