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(こんなこと、真や神倉なら絶対に考えない)
あの2人は強い。人に物怖じもせずに向かっていくし、確固たる自分を持っている。だから、こんな”他人”に何かを言われたぐらいで凹んでいるなんてことは、知られたくもない。
でも、僕と同じぐらい弱いところがある里依さんなら話しても大丈夫な気がした。
......冒頭以後、里依さんからの相槌や返事はない。ひょっとしたら困らせてしまっているかも知れない。僕は後ろを向いたままソファに横になっている里依さんに近づいた。
「ごめん、冴島さん。こんな話聞かせーーて?」
僕は唖然とした。
「寝てる.....」
「.......スー......スー」
壁に話しているつもりでとは言われたが、本当に壁に話しているとは思わなかった。
「ふふ......どうですか......これ......が......社会人の......しぇんぱいの.....チカラでふ......」
寝言で勝ち誇ったような何かを言っているが、本当に締まらないことこの上ない。
不思議と、僕は笑っていた。
「冴島さんは本当に酷い。......悩んでる自分が馬鹿みたいだ」
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