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次のバイトの定期ミーティングに顔を出すのが全く憂鬱でなかったといえば嘘になる。けれど、前回のあの日よりも幾分か晴れた気持ちなのは間違いなく里依さんのおかげだ。
事務所には集合時間より早くきたのに、既に岡さんやクズ永が来ていて少し驚いた。
「おはようございます」
「おーはよ」
クズ永は机にだらしなく足を上げていたが、注意しようという気にはならない。今日は帽子を顔の上に置いて半分寝ているらしい。
「緒方くん! おはようございます。スッキリした顔をしていますね」
「え......」
社員の岡さんがいつものように柔和な笑みを浮かべる。心なしか上機嫌に見えるのは僕の錯覚かもしれない。
「一つ良い報告があります。君へのクレームを出した子、撤回したそうです。また一緒に働いて欲しいそうですよ。それと、ごめんなさいって謝罪を」
「何故ですか?」
僕はあれから件の飲食店には行っていない。関わってもいないのに、勝手に謝られる理由がわからない。
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