エピローグ

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「見ててください、私最近かぼちゃを切れるようになったんですよ」  そう言って包丁の刃先をかぼちゃに当てる里依さんは既に危なげだ。調子に乗って血を流すことになる前に、注意をしておかなければならない。 「かぼちゃは不安定な状態で力を入れると怪我するから。まずはかぼちゃをグラつかないところに置いて、包丁の根本から当てること」 「はい! 先生!」 「先生じゃない。慣れてきたからって気を抜くと危ないから」 「はい!」  里依さんは、例の飲食店バイトの子よりも危なっかしい。すぐに慢心するし、何もないところでこける。 「緒方さんのアドバイスって的確で良いですよね」 「そう。ありがとう」  でも、一緒にいて心地いいしそれなりの人間関係も築けている気がする。  だから僕は、この人のことを”他人”から”友達”だと本当に思っても良いのかもしれない。
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