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「開きましたー!」
「良かった。じゃ」
ポストから溢れるように紙が飛び出した。折れてぐちゃぐちゃになった書類を抱えたままの彼女を置いて僕は足早に立ち去ろうとする。しかし、彼女は妙なところでめざとい。
「あの、今日何かありました?」
「ーーえ?」
僕は登りかけた階段で足を止める。
「いつもの緒方さんなら、ここで私が最後まで紙を拾うのを手伝ってくれます。なんなら、最初の声掛けのタイミングから手伝ってくれたでしょう」
僕が早くひとりになりたいのをどこか察していて僕を止めるのは正直どうかと思う。
それに、僕が里依さんを助ける前提で自信満々に自論を展開しているのもなかなか自意識が高い。
(まぁ、確かにいつもならすぐに助けたかもだけど)
里依さんが引っ越してきてからというもの、僕が里依さんを助けた回数は正直多い。多すぎるぐらいだ。だからこんな予想が立ってしまうのは当然なのだが、僕は見透かされていることを悟られたくなんかない。
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