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何とか聞こえるくらいの音量で水の音がする。ウィルの出て行った方がお風呂だと思いながら、せっせともみもみと両手を動かす。水の音はそのままにウィルは部屋に戻ってくると、そのドアのすぐ隣の扉を開けて、慣れた手つきで迷わずタオルなどを手にする。
私はウィルをガン見して、こっちを見られていないことを確認しながら、大きく布団が動かないよう‘せっせともみもみ’から3分の1にペースを落としてゆっくり…でもしっかりと揉みっ…揉みっ…確実に回数を稼いだ。
「ユリア様」
「…はぃ…」
布団の中で両手を胸にぐっと押し付けて動きを悟られないように返事をすると
「湯のご用意が整いました。もう一度、お水をお飲みいただいてから参りましょう」
ウィルが私の布団を捲ろうと手を掛けたので、私は自分の手をさりげなく…たぶん…きっと、さりげなく出来たはず…大きく上に伸ばしてぐーっと全身伸びをした。
「ずっとベッドでしたから…お体をほぐさないといけませんね。湯あみのあとはマッサージといたしましょう」
「マッサージ?」
「はい。ユリア様は私のマッサージが特にお気に入りでしたから、お体が覚えていらっしゃるかもしれませんね」
体が覚えているマッサージ…?ウィルの微笑みが妖艶に見えるのは何故?
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