もみもみ

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「ユリア様、どうぞ。まずはスープからお召し上がりになって、お体が受け付けるようでしたら、もう少し形のあるものを夕食に」 何でも食べられるけれど 「ありがとう、いただきます」 とスプーンを持つ。 「私とウィルの前では本当に素直で心優しいお嬢様…」 またサーラが涙ぐむので聞いてみる。 「私は…悪い子だったの?目覚めたときも‘ごめんなさい’で驚かせたようで…あ、サーラ、美味しい」 「ユリア様のお好きなオニオンミルクスープでございますから」 ウィルはバスルームを片付けているのかここにはいない。サーラが私の質問に丁寧に応えてくれた。 ユリア嬢はこの城の主の一人娘で、早くに母親とは死別している。10歳の時に後妻である今の母が城に来たのだが、彼女には二人の娘がいた。当時、11歳のアニーラと9歳のライラという姉妹。父は3人が仲良く出来ると確信していたらしいが、それは長く続かなかった。 ユリア嬢が13歳の頃になると当然、体が成長する。この国では美しい女性の第一条件は美しいバストの持ち主であること。 「そうなのっ?」 ここまでスープをいただきながらフンフンと聞いていたのだが、思わず聞き返してしまった。美しい女性の第一条件は美しいバスト…以前の世界でなら、酷評されるに違いない下らない条件だが、生きる場所が違えばこんなに聞こえる響きが違うんだ。
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