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その声のするドアへ向かうのはサーラよりウィルが先だった。上着を着たウィルは少しドアを開けると
「ユリア様がお会い出来るかどうか、まだ分かりませんが、それでもよろしければ応接室でお待ち下さい、ラース様」
とお辞儀する。そうだよね。中がスッポンポンのバスローブ姿では来客に会えない。しかも病み上がり設定だもの。目覚めて数時間で会えると思えない。
「目覚めたんだろ?また眠っていてもかまわない。一目会いたい」
おお…なかなか好みの声だ。
「お客様にお会い出来る状態ではございませんので、応接室でお待ちを」
「…わかった。ユリア、起きているなら僕に顔を見せてくれ。何時間でも待っている」
彼が立ち去ると、ウィルが
「ユリア様、どうされますか?もう一度休まれるか、マッサージ、それともラース様と会われるか…」
と私の側に来る。
「彼に会うのは…すぐ終わる?記憶にないから会っておこうかとは思うけど…まだ何も分からなくて話することもないから…」
「ラース様も記憶のことはすでに連絡を受けておられて、ご存知だと思います。本日はご挨拶だけということで、お会いになりますか?」
「そうする」
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