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「姉のアニーラよ。こっちが妹のライラ」
少し髪の色が薄い方がアニーラ。覚えた…と思う。
「美味しい」
じゃがいものポタージュのようでもう少し複雑な味のスープは美味しい。
「答えなさいよ。何を企んでいるの?」
「何も分からな過ぎて残念ながら、まだ何も企めないです」
「可愛くない答えだわ」
そう言ったのはライラだ。
「お父様、アニーラとライラはこうして面と向かって悪態をつくのが普通なんですか?」
「いくら言っても良くならない…だからユリアがこうして食事に出てくれるのが珍しいくらいで申し訳ない。昔は仲が良かったからいつかは…と願っているのだが」
なるほど、了解。
「お父様、私は誰かとお付き合いをしていましたか?」
「いいや。ラースが熱心に申し入れてはくれていたが、ユリアはアニーラたちに遠慮していたようでな。他にも話は来ておるが、まだ誰とも」
「そうですか。私と結婚した人が得することってありますか?」
スープ皿を下げる人たちも不思議そうに聞き耳を立てているのが分かる。
「それは相手によるね」
もし相手がラースの場合は嫁に行くだけのこと。もし相手が城や土地を持たなくてこの城へ婿入りするなら相手が得すると言えるだろう。娘3人のうち、誰が婿取りをしてくれてもいい。
「一番お姉さんのアニーラが婿取りします?」
私はアニーラが婿取りするとなれば、ウィルとサーラがアニーラにすり寄る可能性を考えて皆の前ではっきりと聞いてみた。自分しか頼れないもの。しっかりしなくちゃ。
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