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「僕もそれがいいと思うよ。お母上ともとても仲がいいのだから。お父上も認めておられたようにアニーラとライラがユリアに悪態をつく。それはお母上も同じこと。ユリアがここに残って幸せになれますか?」
ラースが皆にそう言った時、目の前に魚と野菜のグリルが置かれた。このまま食べるのだろうか?周りを見ていると
「ユリア様、無理せず召し上がれる物だけを召し上がってください」
後ろから近づいて来たウィルがそっと私に言う。頷いてから皆と同じように魚を口にすると、ふわりとした食感とバター風味が美味しい。
「相変わらずラースは意地悪ね。私があなたのことを好きだと知っていながら」
「アニーラ、昔から好きな女の子に意地悪する男の子はたくさんいるわ」
「お言葉ですが、叔母さま。僕はそんな年齢でもありませんし、意地悪でも何でもなく本心です」
「じゃあ、アニーラが婿取りして、私はラースのお嫁さんになるわ」
「ライラ、自分勝手ね。あなたはラースには子ども過ぎるわ」
「2歳しか違わないでしょ」
姉妹喧嘩が始まりそうだけれど、状況把握したいのはそこではないのよ。ラースがユリア嬢に求愛していたのはお父様を通して正式なものだとわかった。お父様も嫁入りする場合と言うくらいだから反対することない良縁なのだろう。
「お父様、サーラは私が生まれた頃からお世話してくれていると…」
「そうだね」
「ウィルは?」
「ウィルは2年前にユリアの執事になったんだよ」
「どうして?」
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