1396人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に戻ると私は部屋の中をあちこち開けて隅々まで見た。食事が運ばれさえすれば、ここだけで生きていける感じにはなってるんだ。
「ウィル、私は何時に起きればいいの?目覚ましのアラームはある?」
「いつもは7時半頃、私がお声を掛けてからお目覚めです」
「それから一日何をするの?」
「湯あみやマッサージの日もあれば、買い物にお出かけの日もございます。お菓子を作っておられることもありましたし、ピアノを弾いておられることもありました。ダンスのレッスンは…」
「何?」
「…はい、苦手でおられるので、旦那様からは毎日1時間はと伺っているのですが、逃げられることもあり…私が苦戦しているところでございます」
「私は…執事学校主席の優秀な執事を困らせているってこと?」
そう聞きながら、可笑しくなってきた。やるじゃない、ユリア嬢。そういうところがなきゃ、やってられないわよね。クスクスと笑いが止まらない私に
「私の力不足です」
と真面目に応えるウィルには申し訳ないけれど、ダンスが苦手キャラは都合がいい。
「また逃げると思うけど…逃走経路が記憶にないのは困ったわね。明日は城の中を全て案内してくれる?」
「仰せのままに」
「よろしく。おやすみなさい」
「ナイティへとお召しかえ下さい」
「分かった………出来るからもう行っていいよ?」
「そういうわけには参りません。ドレスも持って下がりますし、きちんとお休みになるまでお側におります。急にお食事もされたので様子を見ませんと…」
はい…全部ペロッと食べちゃったのよね…病み上がりと思えない食欲だったよね。
最初のコメントを投稿しよう!