1391人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだよ。執事学校を卒業していないと執事にはなれない」
ラースがそう言うと執事さん…名前何だったっけ?
「すみません…お名前をもう一度お願いします」
「ポイヤックでございます」
「ポイヤックさん…ラースに聞かなきゃダメか…ポイヤックさんに聞きたいことがあるの」
「僕の許可はいらないよ。どうぞ」
「ありがとう。今はちょっと…昼食に行かないといけないから今度…」
「ユリア、少し聞かせて」
「うん」
「どうして今、一人?」
「…一人で移動する練習中。自分の住まいだから」
「ウィルが勝手についてきても良さそうだけど、何かあったのか?」
「あったのかな…わからない…いろいろ混乱中でもあるの」
「それなら、今度と言って聞きたいことを先伸ばしにするのは良くないな。ポイヤック」
「はい、少々お待ちくださいませ。すぐに戻ります」
おぉ、華麗なターンだね…
「ポイヤックはダンスも上手いよ?」
華麗なターン…聞かれたのか…
「僕も好きだよ」
「私は…やったことがないからわからない」
言ってから、しまったと思ったけれどラースは優雅に微笑みながら
「一から練習するのが一番上手になるんじゃないかな…クセがなくて。それに好きか嫌いかでいいと思うからね、僕は。上手か下手かなんて歌でもダンスでもどっちでもいいんだ。コンテストじゃなきゃね。気分よく楽しめるかどうか、それだけだよ」
私の体温を確かめるかのように頬を手のひらで包んだあとで、そっと撫でた。だぁかぁらぁ、どっきどきだってば…そういうの慣れなくて緊張するよ。
最初のコメントを投稿しよう!