どきどき

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「そうだよ。執事学校を卒業していないと執事にはなれない」 ラースがそう言うと執事さん…名前何だったっけ? 「すみません…お名前をもう一度お願いします」 「ポイヤックでございます」 「ポイヤックさん…ラースに聞かなきゃダメか…ポイヤックさんに聞きたいことがあるの」 「僕の許可はいらないよ。どうぞ」 「ありがとう。今はちょっと…昼食に行かないといけないから今度…」 「ユリア、少し聞かせて」 「うん」 「どうして今、一人?」 「…一人で移動する練習中。自分の住まいだから」 「ウィルが勝手についてきても良さそうだけど、何かあったのか?」 「あったのかな…わからない…いろいろ混乱中でもあるの」 「それなら、今度と言って聞きたいことを先伸ばしにするのは良くないな。ポイヤック」 「はい、少々お待ちくださいませ。すぐに戻ります」 おぉ、華麗なターンだね… 「ポイヤックはダンスも上手いよ?」 華麗なターン…聞かれたのか… 「僕も好きだよ」 「私は…やったことがないからわからない」 言ってから、しまったと思ったけれどラースは優雅に微笑みながら 「一から練習するのが一番上手になるんじゃないかな…クセがなくて。それに好きか嫌いかでいいと思うからね、僕は。上手か下手かなんて歌でもダンスでもどっちでもいいんだ。コンテストじゃなきゃね。気分よく楽しめるかどうか、それだけだよ」 私の体温を確かめるかのように頬を手のひらで包んだあとで、そっと撫でた。だぁかぁらぁ、どっきどきだってば…そういうの慣れなくて緊張するよ。
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